はじめに
皆さんは、育児介護休業法が改正されることをご存じでしょうか?
ニュースで産後パパ育休なんてワードを耳にしたことがあるかもしれません。
本改正法は、育児や介護をしなければならない従業員を支援する目的で、2022年4月~2023年4月の期間で、三段階に分けて、施行されていきます。
今回は、4月に改正施行される内容と、事業者が対応しなければならないことについて解説します。
育児・介護休業の取得要件の緩和
本改正で、有期雇用の従業員が育児・介護休業を取得するための要件が、下記のように緩和されました。
●育児休業:1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでないこと
●介護休業:介護休業開始予定日から93日を経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでないこと
どちらの現行法にも上記のほかに「引き続き雇用された期間が1年以上あること」という要件がありましたが、改正法によりその要件は削除されています。
育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
本改正により、事業者は育休を取得しやすい雇用環境を整備する義務が課されました。
そのため、下記の措置を実施する必要があります。
※産後パパ育休については2022年10月以降
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
全従業員を対象とすることが望ましいが、少なくとも管理職については、研修を受けたことがある状態にすること。
② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置など)
形式的に設けるだけでなく、実質的な対応が可能な窓口が設けられていること。
③ 自社の従業員の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
当該事例をいつでも従業員が閲覧できる状態にすること。
④ 自社の従業員へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
育児休業に関する制度・育児休業取得の促進に関する事業主の方針を全従業員に周知すること。
なお、4つのうち複数を実施することが望ましいとされていますが、いずれか1つの措置をおこなうことで足りるとされています。
妊娠・出産を申し出た従業員に対する個別の周知・意向確認
本改正により、従業員が自身または配偶者が妊娠・出産したことを会社に申し出たときには、
育児休業や産後パパ育休について個別に情報提供を行う義務が課されました。
※産後パパ育休については2022年10月以降
周知すべき内容は、次の4つ全てです。
●育児休業・産後パパ育休に関する制度
●育児休業・産後パパ育休の申し出先
●育児休業給付に関すること
●従業員が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
周知の方法は、「面談(オンライン可)」、「書面交付」、「FAX」、「電子メール等」のいずれかとされています。ただし、FAXと電子メール等による周知は従業員が希望した場合にのみ可能と限られています。
おわりに
本日は、改正育児介護休業法のうち、4月から施行される内容について解説しました。
育児休業・介護休業の制度を整えることで、従業員の満足度も上がり、離職率の低下などにもつながります。次回は、産後パパ育休も含む10月以降に施行される内容を解説いたしますので、ぜひお楽しみに!
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