法改正

中小企業もパワハラ防止法の対象に!事業者の義務とは?

はじめに

皆さんは、改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法をご存じでしょうか?
本法により、事業者がパワハラ対策を行うことは義務であると定められています。これまでは猶予期間とされていた中小企業も今年の4月1日からは、その対象となります。
※もちろん3月31日までならパワハラをしていいということではありません

そこで、本日は、パワハラとはなにか?事業者の義務とはなにか?について解説していきます。

パワハラとは?

パワハラ防止法により、パワハラの定義が定められています。
本章では、パワハラとみなされる3つの要件とよくある6つの類型を解説します。

3つの要件

職場でのパワハラは下記、3つの要件をすべて満たすものと定義されています。

●優越的な関係を背景とした言動であること
上司から部下への言動だけとは限らず、同僚や部下からの言動でもパワハラになり得ます。
(経営者親族・その人にしかできない専門的な業務がある従業員など)

●業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
重要な会議に遅刻をした従業員に対して1対1で叱責するような行為は通常ではパワハラには該当しません。他方で、「遅刻するような人間だからお前はだめなんだ」などと、人格否定が伴うパワハラに該当し得ます。

●労働者の就業環境が害されるものであること
当該言動により労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な悪影響を与えた場合に該当します。

6つの類型

職場でのパワハラには、下記6つの類型が存在します。

殴る・蹴る・物を投げる
② 人格を否定する暴言・他の従業員の前で罵倒する
③ 別室に隔離する・無視をする
④ 業務上明らかに不要なことを命じる・到底対応できない量の仕事を命じる
⑤ 能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる仕事を与えない
⑥ 個人用の携帯電話をのぞき見る・家族や恋人のことを根掘り葉掘り聞く

事業者の義務とは?

本法では、事業者に対してパワハラを防止するため、下記のような措置が義務づけられています。

社内方針の明確化と周知・啓発

パワハラに対する自社の方針を明確にし、全従業員に周知することが必要です。

■パワハラ発生時の取り扱いを社内規定に追加
■社内報・社内メールなどでのパワハラ発生原因やトラブル事例の紹介
■研修・講習・説明会の実施

 

相談に適切に対応するための体制づくり

パワハラが起きた際の相談窓口を定め、事前に周知することが必要です。

■社内相談窓口、担当者の設置
■相談対応の外部委託

 

パワハラが発生した場合の迅速・適切な対応

事業主はパワハラについて従業員から相談があった際には、下記の措置が必要です。

■事実関係の迅速かつ正確な把握
■パワハラを受けた被害者に対する配慮措置(休暇を与える、必要な補償をするなど)
■加害者に対する必要な措置(注意、配置転換、懲戒処分など)
■再発防止に向けた、パワハラ方針の再周知・啓発措置

 

そのほか併せておこなうべき措置

上記の措置をおこなう際には、あわせて下記のような措置が必要です。

■相談者、行為者、などのプライバシー保護
■従業員が相談したことによって不利益を受けないような対応

 

おわりに

本日は、4月1日から全事業者が対象となる、パワハラ防止法についてまとめました。
本文でもお伝えしていますが、パワハラ防止への取り組みは義務です。
罰則はありませんが、パワハラ等があると社員育成が進まず、結果として事業の衰退につながります。まだ具体的な対策を行っていない事業者様は、ぜひ弊社担当へご相談ください。

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