はじめに
日本政府は2022年6月7日(火)の午後、国家予算編成の指針となる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を閣議決定しました。
この方針のなかには、岸田総理が掲げる新しい資本主義の実現に向けた5つの重点投資分野が盛り込まれています。ここを理解し柔軟に経営に取り込むことこそが選ばれる企業として成長していく鍵になります。
本日は、日本政府が定めた5つの重要投資分野を簡単に紹介します。
※特に企業経営に関連するものをピックアップします
5つの重点投資分野
人への投資
デジタル化や脱炭素化という大きな変革の中、人口減少により労働力不足に直面する日本が経済成長するためには、創造性を発揮して付加価値を生み出していく「人」を原動力とするほかありません。
そのため、下記のような方針が掲げられています。
●スキルアップ
〈具体例〉
□働く人が自らの意思でスキルアップできる環境の整備(2024年度までの3年間で4000億円規模の予算を投入)
□非財務情報の開示ルール策定(2022年度中)
□社会人の学び直しを促進する環境の整備
●多様な働き方の推進
〈具体例〉
□裁量労働制の実態調査
□副業・兼業の推進
□週休3日制の導入・普及促進
□良質なテレワーク環境・フリーランスが安心して働ける環境の確保
●賃上げ、最低賃金の引上げ
〈具体例〉
□賃上げ促進税制の活用促進
□事業再構築・生産性向上等の支援による中堅・中小企業の付加価値増大
□賃上げを行った企業からの優先的な政府調達
□最低賃金の全国加重平均1000円以上達成
●質の高い教育
〈具体例〉
□デジタル化に対応したイノベーション人材育成
□大学の機能強化(成長分野への大学の再編・文理の枠を超えた人材育成)
科学技術・イノベーションへの投資
社会課題の解決と経済成長を同時に行っていくためには、科学技術・イノベーションの力が不可欠です。日本を支える科学技術を発展させるため下記のような方針が掲げられています。
〈具体例〉
□量子・AI・バイオテクノロジー・医療分野への投資拡充
□宇宙・海洋分野の取組強化
□若い研究者が研究に専念できる環境整備
スタートアップへの投資
スタートアップは経済成長の原動力となり、環境問題や子育て問題などの社会課題の解決にも貢献する「新しい資本主義」の担い手になると考えられています。
より起業しやすい日本を目指し、下記のような方針が掲げられています。
〈具体例〉
□スタートアップ育成5カ年計画の策定(2022年末)
□資金調達しやすい環境整備
□企業を支える人材の育成・確保(マッチング支援など)
□研究開発・販路開拓⽀援
GX(グリーントランスフォーメーション)への投資
日本は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというカーボンニュートラル宣言を表明しています。そのため、その実現に向けた方針が下記のように掲げられています。
〈具体例〉
□カーボンニュートラル実現を見据えたロードマップの取りまとめ(2022年末)
□官民による10年間での150兆円超の投資
□GXリーグの段階的発展・活用
□地域脱炭素の加速化(人材育成・脱炭素経営向上・資金供給等)
DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資
日本は今後3年間で法令等の⾒直しを⾏いデジタル原則への適合を目指すという方針を示しています。それに伴い、社会全体のデジタルへの変革に向けた方針が下記のように掲げられています。
〈具体例〉
□物流・人流分野のDXや標準化(自動運転車や空飛ぶクルマ、低速・小型の自動配送ロボットの活用など)
□Maas推進(自動運転など)
□テクノロジーマップの整備・実装(センサー、ドローン、AI診断、IoT技術、ビッグデータ分析など)
□行政のデジタル化推進・マイナンバーカードの普及
□「自治体DX推進計画」の改定・地方自治体のデジタル化推進
おわりに
本日は、骨太の方針2022の中で定められた5つの重点投資分野を紹介しました。
今後の企業経営とこの5分野は切っても切れない関係になっていきます。
変革の波に乗り遅れないように積極的に取り組んでいきましょう。
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