はじめに
皆さんは電子帳簿保存法という法律をご存じでしょうか?
『なんとなく聞いたことはあるが、詳しくは知らない』という方も多いと思います。
この法律は、ほぼすべての事業者に広く影響するものであり、来年1月には改正法が施行されます。
いままでの業務のやり方では法律違反になってしまう危険性があるにもかかわらず、まだまだ法改正への準備ができていない企業が大半です。
そこで今回から複数回に分けて電子帳簿保存法についての解説・紹介を行っていきます。
初回となる本記事では、電子帳簿保存法の概要・6つの改正ポイントの2点について触れていきます。
電子帳簿保存法とは
概要
電子帳簿保存法(以後、電帳法とします)とは、
各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすることや、電子的に受け取った取引情報の保存義務等を定めた法律です。
分かりやすく言うと『今まで紙で保存してきた文書をデータで保存してもいいよ。不正があってはいけないからルールに則って保存してね。』ということです。
なお、電帳法上認められている保存方法は下記3種類に区分されています。
①電子帳簿等保存
1つ目は自社で作成した文書等を電磁的記録(電子データ)で保存する方法です。
会計ソフトなどを用いて電子的に作成した帳簿・国税関係書類等をデータで保存する場合がこれに当たります。なお、ExcelやWordで作成しているものも対象になります。
電磁的記録(電子データ)で保存する対象となる文書は下記に挙げておきます。
- 総勘定元帳や現金出納帳などの帳簿関連書類
- 貸借対照表や損益計算書などの決算関連書類
- 契約書、請求書などの取引関係書類
②スキャナ保存
2つ目はスキャナ等を用いて保存する方法です。
取引の相手先から受領した紙の書類や、自社で作成した写し等の国税関係書類をスキャナ・複合機・スマートフォン・デジタルカメラ等で電子データに変換して保存する場合がこれに当たります。
スキャナ保存の場合は、原紙の改ざんによるデータの書き換えを防ぐために、タイムスタンプの付与といった対応をする必要があります。(タイムスタンプについては重要な改正点の1つでもありますので、次回以降の記事で詳しく解説します)
スキャナ保存の対象となる文書は、契約書や見積書などの取引関係書類のみで、先の帳簿関連書類や決算関連書類は対象となりませんので注意が必要です。
③電子取引データ保存
3つ目は電子取引で受領した書類をデータ保存する方法です。
電子取引データ保存には、電子的に授受される書類のすべてが対象になります。そのため、EDI取引やクラウドサーバ経由などの他に、請求書等のPDFをメールで送付する方法や、Web請求書発行システムなどを利用する方法もこれにあたるので注意が必要です。
2022年改正のポイントとは?
冒頭で書いた内容と繰り返しになりますが、2022年1月より、改正電子帳簿保存法が施行されます。
改正のポイントは大きく分けて6つありますので、下記に列挙します。(それぞれの内容は次回からの記事で詳しく解説します)
- 承認制度の廃止
- 検索要件の緩和
- タイムスタンプ要件の緩和
- 事務処理要件の廃止
- 書面保存の廃止
- ペナルティ既定の新設
まとめ
‣電子帳簿保存法…帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する方法について定めた法律
‣帳簿や書類(国税関連帳簿書類)の保存方法…電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3種類
‣改正には大きく分けて6つのポイントがある
本日は、電子帳簿保存法の概要と6つの改正ポイントについて解説・紹介しました。
あまり耳なじみのない法律だったとは思いますが、電帳法の概要や改正のポイントが大きく6つに分けられるということは分かっていただけたのではないでしょうか。
次回からは、上記改正ポイントの詳細と実務上の注意点等を解説します。
ぜひお楽しみに!!
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