はじめに
2022年4月に東証市場再編が行われ、新たな市場に上場する企業はESGへの対応が求められるようになりました。これは大企業に限った話ではなく、その取引先・下請などといった中小企業にも無視のできない流れです。
そうはいってもESG対応のために何をすればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。今回は中小企業がどのようにESGに取り組んでいるのかを把握する調査を行いました。
ブルーレポートmini 2022年7月号
ブルーレポートmini 2022年7月号
E(環境)についての調査
■事業活動における環境活動
自社の事業活動で毎月どの程度「エネルギーの消費・温室効果ガスの排出」しているかを把握しているか?
●数値まで記録している企業は11.9%と10社に1社ほど
■環境対策への取り組み実施、組織体制
環境対策への取り組みを行う組織体制を整えているか?
●組織体制が「整っている」と回答した企業は8.7%
●全体の約4割が組織体制の構築への意識を持っていることがわかる
環境省が促進している中小企業の気候変動対策は下記3点です。
①可能な限り省エネを進める
空調のこまめな温度調整や清掃、無駄電力の削減、断熱材の積極的な活用など
②エネルギーの低炭素化を進める
低炭素電源(再生可能エネルギー)やバイオマスボイラーなどの活用など
③電化を促進する
ガソリン車からハイブリッド車や電気自動車への転換など
S(社会)についての調査
■育児・介護休暇制度の導入
●「どちらも導入している」と回答した企業は36.9%
●約半数となる50.8%の企業が「導入していない」と回答
2022年4月から段階的に施行されている改正育児・介護休業法の影響を受け、日本全体で育児・介護休暇を取得しやすい環境整備が進められています。現状で育児・介護休暇の導入や取得促進への取り組みが進んでいない場合には、準備を促す必要があります。
■従業員の健康診断の実施率
●「100%実施している」と回答した企業は70%
経済産業省の認定制度「健康経営優良法人」でも、健康診断の実施率を認定条件としており、健康経営における健康診断の重要性がわかります。
7割の中小企業が「100%実施している」と回答した一方、実施していない従業員がいる企業もみられ、もし運用があいまいになっている場合には改めて受診の体制を見直す必要があるでしょう。
G(企業統治)についての調査
■経営理念の策定
●経営理念を策定している企業は41.8%
経営理念は会社の方向性や事業の価値を言い表すものであり、企業統治において重要な位置付けです。約6割の企業がいまだに策定していないことからも、ESGへの取り組みがまだまだ浸透していないことが推察されます。
おわりに
ESGは中小企業であっても避けては通れない世界全体の潮流となっています。
自社の事業を振り返り、環境や社会に配慮した経営を行っているのかを念頭に置き、より積極的にESGに対応した事業に取り組んでいきましょう!
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